説明:
本作は二代:水心子白熊入道正秀です。
文政六年二月吉祥に制作されたことを示しています。
新々刀には長寸の刀が比較的ある。
初代正秀の晩年作に似る。白熊入道の現存する作は少ない。
(切付銘)
源胤明(本名:堀井胤明)は嘉永4年(1851年)に生まれ、師匠は名工、初代:堀井胤吉です。
胤明は堀井胤吉の甥にあたり、後に養子になります。胤吉は生涯独身。
父同様に近江国膳所藩のお抱えとなる。
源胤明上之の意味は(上之はたてまつる)言う意味です。身分の高い人に献上した意味です。
胤明が之の刀を榎本正鬼に明治四十三年二月十四日に差し上げたことを胤明が銘を入れたものです。
榎本武揚は有名な幕末のから明治に政治・教育に貢献した「和魂洋才」を思想・哲学を表した人です。
榎本正鬼銘につきまして、明確な資料が見渡りませんが榎本の親族(別名・通称・号・)の可能性を考えます。
初代水心子正秀の弟子には、月山貞吉・大慶直胤がいます。
吉井胤吉の師匠は月山貞吉・大慶直胤です。水心子正秀の同じ流れをくむ源胤明です。
胤明親子は大正7年1918年に室蘭に移住。<瑞泉鍛刀所百年の歩み>より
本作品は父胤吉の大師匠、初代水心子正秀の流れをくむ、源胤明と二代白熊入道正秀と互い二代の関係を示した作品です